じじーは語る
じじーに、きなこが死んだことを葉書に書いて伝えた。
妻を亡くし、その後独身を貫いたじじーにとって、きなこは唯一じじーにキスをしてくれる♀だった。一緒に住んでいるとき、じじーはきなこを可愛がってくれた。じじーは、何度言っても自分の部屋のサッシを開けっ放しにするので、きなこはよくそこから脱走した。何時間もじじーを恨みながら外を探し回ったっけ。
今は離れ離れに暮らしているけど、たまに遊びに来る時は、「オレのこと覚えてるか~~?」と言ってきなこをさわってた。
じじーは葉書を読んでびっくりして、電話をくれた。
父親の前で泣いたことは、母が亡くなった時以来か?とにかく涙が止まらなくて、じじーがきなこの思い出話をするのを聞いた。
「元気によく脱走したなあ。あの猫は変わった猫だったなあ」
好き、とか可愛いとか言えないじじーの、精一杯の褒めことば。
「猫でもいなくなると淋しいもんだなあ。まあ、今度落ち着いたらな、また飯でも食いに行こうや」
と優しいじじーであった。じゃあ、銀座あたりでお願いします。

























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